vol.05
断熱性と採光性の難しいバランス
悩み多きZEH問題はひとまずおいて、「ところで断熱材はどういったものを?」と、菅沼さんに訊ねるニッシーダに、すかさず「断熱材はかなり良い等級のものを使っていますよ」と答える菅沼さん。
「この断熱材を使用するだけでも十分な断熱効果になりますので、断熱だけを考えると無理に窓を小さくすることはなかったんです。開口部を小さくすることでZEHにつながることは間違いないのですが、施主さんの仰る通り、そのためにせっかくの逗子の眺望を諦めることも本末転倒ではないかと思いましたね」と言う菅沼さん。
う〜んなるほど。日本家屋の文化とはすなわち自然との共生。昔から我々日本人は、外の景色と同化し、風通しを良くすることで四季の移ろいを感じて暮らしてきたはずである。一方ZEHライフと言えば、極力内部の熱を逃さず、エネルギーの創生と消化を自力で完結する暮らしなので、開口部はなるべく小さいに越したことがない。
どちらが良いと言うことではなく、まさにケース・バイ・ケースだ。「せっかくのロケーションなんだから、この眺めと採光を捨てるわけにはいかない。窓をもっとデッカくする!」と言ったゼッチーダの考えにも共感せざるを得ないな。そう考えたニッシーダは、ゼッチーダの決断に理解を示し、改めて工事中の邸内を観察することにした。