ゼッチーダ、スマスピを自慢する
その日、ゼッチーダからの招待を受けたニッシーダは、もう何度来たかも分からないくらいおなじみとなった逗子駅に降り立ちました。こちらから押しかけることはあっても、お招きを受けることはめったにないニッシーダは、ゼッチーダの魂胆を少し訝りながらもゼッチーダ邸へ向けて歩き出しました。
「お!ニッシーダ、お待ちしてましたよ!!」
不気味なほどににこやかなゼッチーダの笑顔に少し悪寒を覚えるニッシーダでしたが、「ささ、どうぞお入りください〜」というゼッチーダに促されて、2階のリビングへと上がりました。
すると、ダイニングテーブルの上に見慣れぬものが…
「これって、もしかして…」と、ニッシーダが二の句を継がぬうちに、「そうです!これがウワサのスマートスピーカーですよ!!」と先走るゼッチーダ。
なるほど、どうやらこれを自慢するために呼ばれたんだな、とすぐに状況を理解したニッシーダ。
スマートスピーカーを手にしたゼッチーダの目はらんらんと輝き、口元はすぐにも話し出したくて仕方が無い様子。
それを見たニッシーダは「仕方が無い…どれ、存分に聞いてやろうじゃないか」と、すべてを受け入れる覚悟を持ってゼッチーダに言い放ちました。
「おっ!スマスピ買ったんだね」
その一言を合図に、待ってました!とばかりにゼッチーダのマシンガントークが始まります。
「そぉ〜なんですよ!!こいつがすごく便利でしてね〜例えば天気予報とかも…」と、時にアクションを交えながら、時に寝転びながら、スマスピの活用法について、微に入り細をうがつ説明を繰り広げ出しました。
もちろんニッシーダも、スマートスピーカーの機能についてはある程度は知っていたのですが、こうなったゼッチーダを止めることはもうできません。あきらめて「へぇ〜スゴいね〜!」と、できるだけ心がこもったように聞こえる感嘆の声を上げることにつとめました。
しかし、「こいつに一声掛けるだけで、お風呂もためることができるんですよ〜」と言うゼッチーダの言葉に、お風呂大好き人間の心は反応しました。
「OKゼッチーダ!じゃあさっそくお風呂をためてくれ。そして入ろう!」
と、スマートスピーカーに命令するようにゼッチーダに言い放つニッシーダ。
「かしこまり!じゃあ“アレクサ!ニッシーダと一緒にお風呂に入るから、すぐにお湯はりして!!”」
アレクサにとっては、誰と誰が一緒にお風呂に入ろうが知ったことではなかったのですが、なんとか指令通りに給湯を始めました。
そしてまた、男同士の入浴を果たす二人。
しかし湯船に浸かっても、ゼッチーダのスマスピ自慢は尽きず、のぼせ気味になったニッシーダでした。
「どうですか〜スマスピでためた風呂の湯加減は?」と言われ、「さすが、スマスピでためたお湯は違うね」と返答するニッシーダ。それよりも、絶妙な位置に浮かぶアヒルが気になって仕方が無い。
「どうですか〜スマスピでためた風呂の湯加減は?」と言われ、「さすが、スマスピでためたお湯は違うね」と返答するニッシーダ。それよりも、絶妙な位置に浮かぶアヒルが気になって仕方が無い。