究極のマーケティングとは、
“人の心”を知ること|後篇

持田 智也(もちだ としや)

日経BP社 生活メディア編成部 ネット事業プロデューサー

人×人の
エクスペリエンス

クロストレンドは、
マーケティング×テクノロジーがテーマですが、
いま持田さんが興味のある×(クロス)とは何ですか?

人と人とのクロスでしょうか。結局それが一番重要なのではないかと思います。
例えば『日経クロストレンド』の編集部には、日経BP内のさまざまな媒体出身の記者たちが集まってきています。私はこのクロストレンド内で、編集部のメンバーがそれぞれのバックグラウンドを生かすことで、メディアとしての可能性が広がるのではないかと楽しみにしているんです。

プロデューサーとしての私の仕事は、彼らが一緒になってやれることは何だろうかと考えることです。ポイントは、それをいかに楽しくやるかということ。このメディアを作る上では、楽しさや笑顔、そういったものを大事にしていきたいと考えています。

テクノロジーの最先端を紹介するだけではなく、それを使って何ができるのか、どんな市場を生み出すことが出来るのかを突き詰めて考えてくのが『日経クロストレンド』の編集方針。

人の心や動きを知ることが、
マーケティングの根源

持田さんが今、
注目しているモノは何でしょう?

「人の心」ですね。人の心やその動きにはとても興味があります。
人の心って、究極の謎じゃないですか?たとえ家族でも、完全に理解することはできないですよね。
ビジネスにおいても、人にモノを売るためには、その人の考えや欲しいモノを知りつくす必要があると思うんです。この商品を買いたいと思う人は、どういう気持で、何を考えているんだろうというのが知りたいし、それを知ることがマーケティングの根源じゃないかと思うんです。

市場はマーケティングとテクノロジーが支えていると言っても過言ではないと語る持田氏。

ビッグデータは、
人の心を知るためのツールになりますか?

たしかにビッグデータは重要ですし、その分析にも素晴らしいものがありますが、結局最後は人が判断するものなので、そこにデータで測りきれない要素が加わります。私はそのデータの解析結果を最後に確認するその人の、心の揺らぎに興味があるんです。心の揺らぎはデジタルでは解析できません。その心の揺らぎを知ることこそが、究極のマーケティングだと思っています。

分刻みの過密スケジュールに追われる日常では、スマホと手帳が手放せないとのこと。
人の心だけはデジタルで計り知れないという持田氏。心の動きを知ることが究極のマーケティングかもしれない。

デジタルデバイスでは
得られない感覚を求めて

ところで持田さんの
愛用のアイテムは何ですか?

手帳ですね。実にアナログですが…(笑)
日経クロストレンド』の立ち上げで毎日の作業に追われていた時に、自分自身の日々のタスクを管理するためのツールとして、手帳を使うようになりました。スケジュール管理は会社のグループウエアを使っています。日々のタスク管理は、スマートフォンのアプリや手帳など、いろいろ使ってみましたが、これというものがなく。今年の正月から、トラベラーズノートのスケジュール帳をタスク管理に使ってみています。その日にやるべきことと、その日に思いついたことを記入しています。毎朝、かならずスケジュール帳を見る習慣をつけて、やるべきことを忘れないようにしています。

これをする上で大事なのは、キッチリとしたルールを決めないことです。あまりルールに縛られると続かないので、まずは書く、そしてそれを必ず見返す、ということを試しています。デジタルでの入力と違って、実際にペンで文字を書くことで、「書き込んだ」という安心感が生まれるんです。書くことが自分自身の心の安定にもつながっています。それに不思議と後で読み返したときに、書き込んだときの気持なんかも思い出すんですよ。これはデジタルデバイスでは得られない感覚ですね。

愛用の手帳はタスク管理の必須アイテム。書き込むというアナログな作業が、心の安定につながるとのこと。

週末は主夫になる

多忙な毎日ですが、
休日は何をされていますか?

主夫業に徹しています。
休みの日はたいてい、炊事・洗濯・掃除と、私が家事をこなすようにしているんです。家事をすることはぜんぜん苦になりませんし、むしろ楽しんでいますね。特に達成感のある家事が好きなんですよ。掃除でも洗濯でも、一つひとつのタスクを遂行していくことが快感なんです(笑)
それに家事をしている間は目の前の作業に没頭しますので、それ以外のことは何も考えないので、体を動かしてはいても頭はリフレッシュしています。これは仕事も家事も同じなんですが、何事も楽しくすることが一番大事だと思っています。

私が仕事をする上で一番こだわっているのが、その仕事に関係する人全員が楽しんでいることです。誰にも怒って仕事をして欲しくないですし、そんなギスギスした環境で仕事をしても、良い結果って出ないと思うんです。どんなハードな仕事でも、楽しくすることが理想です。だから私は仕事も家事も、楽しんでやっています。 ちなみに主夫として今一番欲しいモノは、ガス衣類乾燥機「乾太くん」ですね。料理も好きなので調理家電にも興味はありますが、優先順位でいえば「乾太くん」、次に新しい食洗機ですね。

これをする上で大事なのは、キッチリとしたルールを決めないことです。あまりルールに縛られると続かないので、まずは書く、そしてそれを必ず見返す、ということを試しています。デジタルでの入力と違って、実際にペンで文字を書くことで、「書き込んだ」という安心感が生まれるんです。書くことが自分自身の心の安定にもつながっています。それに不思議と後で読み返したときに、書き込んだときの気持なんかも思い出すんですよ。これはデジタルデバイスでは得られない感覚ですね。

ガス機器業界に
革命を起こすためには

リンナイやリンナイの製品については、
どのような印象をお持ちですか?

昔から知っているブランドですが、正直言ってあまり意識したことはなかったですね。これまで自分でコンロや給湯器を選んだこともないですし、機能は比較しても、メーカーで選ぶということがあまりないジャンルの製品を出されていますしね。

特に給湯器は、家を建てたときにいつの間にか付いていて、次にその存在を意識するのは、たぶん故障した時くらいですよね。その時にはじめて、「あ、ウチの給湯器はリンナイだったんだ!」と気付くくらいだと思うんです。
そもそもガス機器って、さまざまな機能が盛りだくさんに付いていても、結局使う機能って限られてくると思うんです。だからこそ、本当に必要とされる機能を、しっかりとアピールすることが大事なのではないかと。故障したときばかりではなく、「そんな機能があるんだったら買い替えたい!」と思ってもらえるような企画が必要ですね。買い替えのためのニーズを生み出すべき企画です。そこがしっかりとできて、なおかつ使い勝手の良い製品を提供できるのであれば、ガス機器の市場に革命を起こせるかもしれません。

「ユーザーに“それなら買い替えたい”と思わせるような機能や企画が生み出せれば、ガス機器業界に革命を起こせるかもしれないですよ!」という持田氏。

持田 智也(もちだ としや)
日経BP社 生活メディア編成部 ネット事業プロデューサー

1989年入社。外食産業、百貨店・流通産業を担当後、パソコンブームの到来によりマニア向けパソコン雑誌「日経WinPC」を創刊開発から担当。副編集長、編集長を経て、インターネット事業としてデジタル製品情報提供サイト「PC Online」、医療とテクノロジーを結ぶ「日経デジタルヘルス」などの編集長を担当。その後、アジア各国の台頭にあわせた新事業開発のため、アジア事業プロデューサーとしてインド、タイ、ベトナム、インドネシア、台湾、中国各国で事業開発を担当。現在は、生活メディア本部編成部のネット事業プロデューサーとして業務を行っている。

前篇へ