乾太くんのあるランドリールームづくり「ボーグ邸の乾太くん導入記」

設計士の考える家づくり
ヒアリングからプラン提案、決定までの全体の進め方

生きる上で大切にしていること。
そして、
幸せを感じる瞬間について。

乾太くん導入までの理想のステップ
（ボーグ邸の場合）

今回はこちら

乾太くん導入 の流れ

乾太くんを知る
検討〜決定
設計プランに
乾太くんを組み込む
乾太くん設置工事
穴あけ工事／ガス工事
乾太くん設置
使用

家づくり の流れ

土地探し
建築家に相談
設計プラン作成〜決定
施工
竣工

ベテラン建築家が、
必ずヒアリングすること

ボーグさんご夫婦から自邸の設計を任されたのは、大阪の一級建築士事務所アバクス・アーキテクツの代表・栄隆志さん。住宅のみならず、店舗やオフィス、大型施設の設計など、建築家として30年以上第一線で活躍を続けられているベテランです。

そんな栄さんが住宅を設計する際に、施主に対して必ず聞いていることがあります。「家族構成や車の所有台数、手持ちの家具など、物理的なことはもちろん伺いますが、それよりも大事なことは、その人やご家族が“生きる上で大切にしていること”を知ること。

どのような時間を大切にされているのか、どんな瞬間に幸せを感じるのかなどについて伺うと、自ずとどのような住まいを求めているのかということが、ふわりと浮かび上がってくるんです」。

我を出さないこと、
街並みに貢献できること

「住宅を設計する上で注意していることは、“我を出さない”ことです」という栄さん。住まいの主役はあくまでも施主であり、建築家が作るのは作品ではなくその人が住む【家】。

施主のご家族がいかに楽しく快適に、心安らかに過ごすことができるかを第一に考えているとのこと。中には施主の意向を差し置いて、自分の主義・主張を前面に押し出す建築家もいる中、栄さんはあくまでも施主ファーストの考えを貫きます。

「もうひとつ考えているのは、家そのものだけではなく、その家が周囲の街並み全体に貢献できるかどうかということ。もちろん施主の要望は尊重しますが、例えどんなに望まれても、その存在が街に対して下品になるようなものであれば、断固拒否します」という栄さん。

街並みに貢献してこそ、【家】として完成するのだというのが栄さんの考えです。

太陽の動きや風の流れもプランに取り入れる

「どんな家でも、設計を引き受けてまずやることは敷地の調査です。実際に現地に足を運んで、その土地やまわりの環境を探ります」という栄さん。

周囲の環境を知ることは、家族構成や施主からの要望と同じくらい大事なことだといいます。「家が建つ土地の隣近所だけでなく、少し足を伸ばして周辺にある建物の大きさや高さ、さらには一日の太陽の動きや風の流れなども調べます」。

そのようにして、その土地を取り巻くさまざまな情報を蓄積・分析することで、机上だけでは浮かび上がってこない、活き活きとした設計プランを生み出すことができるのではと考えているとのこと。

「私たちは常に、建築のプロであるということを自覚して仕事していますので、より良い家を設計するために必要な情報や条件を知ることも、建築家の責任であると考えています」。

やりたいことがハッキリしていて、取捨選択が潔い！

そして今回、ボーグさんご一家の新居を手掛けることになった栄さん。施主ご夫婦の印象について伺うと、「ボーグさんは紳士的で、ご夫婦共にとても優しい人たちです。これは初めて会ったときから新居が完成した今に至るまで、ずっと変わらない印象ですね」と笑顔で答えます。

まずはご夫婦が、どんな住まいにしたいのかということをヒアリングすることから始まった施主と建築家とのやりとり。「ボーグさんたちは、自分たちのやりたいことがハッキリしていて、とても分かりやすかったです。そしてとにかく、取捨選択が潔い！」と、その割り切り方に驚いたという栄さん。ボーグさんも奥さまも、新居に必要なモノと不要なモノの切り分けが、潔いほどハッキリしていたといいます。

「例えば、これをするための空間は必要だけれど、そのためにスペースが足りないのであれば、そこに収納はいらない」といったように、ご夫婦の潔い決断は気持ちが良いくらいだったとのこと。

良い施主は、理解力が高い

「ほとんどの場合、家を建てる人は建築のプロではないので、自分たちの要望した間取りが設計的に難しいのではないか？などとかはあまり考えずに、理想の住まい像を語ります」という栄さん。

「もちろんそれは当然のことで、決して間違ってはいないのですが、私たちが実際に設計図に落とし込んだ上で、『やはりこれは難しいですね』と、その理由も含めてご説明しても、うまく理解できずに『なぜできないんだ？』と仰る方も多くいます。

中には素人考えで、『こうすればできるはずだ』という方なども出てきて、正直そうなると非常に厄介なのですが、幸いボーグさんご夫婦は共に理解力が高く、とても感心しました。

ボーグさんは好奇心旺盛な方で、新居を建てると決めてから設計のことも勉強されていたらしく、私たちの提案したプランの一つ一つをちゃんと理解した上で、その是非について話し合うことができたのが良かったですね。私たち建築家から見て、とても良いお施主様だという感想を持ちました」。

2次元から3次元設計へ

ボーグさんが見つけてこられた土地は、閑静な住宅地の中にありましたが、北側斜線制限のある変形地でした。正面上部から見るとL字型になっており、Lの上の先部分は横幅3.4m程の細長いスペースになっており、一般的な住宅を建てるには少し難しい土地でした。

この土地に、ボーグさんたちが希望する居室をすべて設けようとすると、3階建てにするしかありません。ただ、あまりにも複雑な土地形状のため、従来の平面設計だけでは難しいものがありました。

入江さんが得意とする、3次元設計の力が活かされました。

そこで栄さんは、事務所の若いスタッフである入江さんの力を借りて、3次元設計（3Dモデリング）に踏み切ります。

「私はこれまで長い間、平面（2次元）で設計図を描いてきたのですが、この土地の場合は平面で表現するには限界がありました。3次元にして立体的に見ないと分からない部分があったので、入江君に頼んで3Dモデリングをしてもらったんです」という栄さん。

立体にしたおかげで、スムーズに設計を進めることができたといいます。

各階それぞれの空間配置について

かくしてボーグ邸の設計を進めた栄さん。各階それぞれに、必要なスペースを割り当てていきます。

まずは1階に、2台分の車を駐められるパーキングスペースを設置。両サイドを隣家に挟まれた斜めの土地なので、車の出し入れがしやすいよう工夫されています。その駐車場の奥に、廊下を挟んでゲストルームも兼ねたスタディルームを設けました。さらにその部屋の奥には、細長い裏庭に通じる部分に、庭に出やすいようウッドデッキを作りました。

2階には、ご家族が集うLDKと水廻りを集約、さらにボーグさんたっての希望であったピザ窯を置いてバーベキューもできるアウトドアリビングを配置。

そして3階には、ご夫婦とお子さまの寝室を設けるプランを提案しました。その平面図を見たボーグさんご夫婦は一発でOK！「とてもインパクトがあって素晴らしいプランでした！」と大絶賛でした。

ポイントは、
ランドリールーム＋乾太くん

奥さまのご要望であったランドリールーム。今回のボーグ邸に限らず、ここ数年栄さんは、ランドリールームの設置を勧めることが多いといいます。「共働きのご夫婦が増えてきた昨今、家事の時短につながるということももちろんですが、花粉や黄砂などのアレルギーに悩まされるお子さんたちも増え、ベランダや庭での外干しを敬遠する方も多くなってきましたので、予算や条件に余裕があれば、ランドリールームを提案しています」とのこと。

ただ、いくら日差しの入るランドリールームを作ったとしても、そこはあくまでも室内。湿気やにおいなど、家干しならではの問題もあります。

そこで栄さんがランドリールームに合わせて勧めているのが、ガス式衣類乾燥機『乾太くん』。衣類の乾燥機としては、浴室乾燥機や洗濯機一体型の電気式乾燥機もありますが、強力なガスのパワーで衣類を乾燥させる『乾太くん』の仕上がりには、目を見張るものがあるといいます。

設計プラン見直しの危機…

ご夫婦に加え、お子さまも含めたボーグさんご一家からのそれぞれの要望を元に、難しい変形地を最大限に活かした設計プランを提案した栄さん。ボーグさんからも基本OKが出たことで、後は細部を詰めて行く作業です。施主だけでなく、実際に施工する工務店の方とも相談しながら、ボーグ邸の設計図は着実にブラッシュアップされていきました。

やがて設計プランは確定。いよいよ施工という段になって、このプロジェクトに予想外の事態が訪れます。それは、コロナ禍も影響した物価高騰、資材高騰による予算オーバーでした。