中村 孝則コラムニスト/「世界ベストレストラン50」日本評議委員長
中村孝則氏は、毎年世界のレストランを評価する「世界ベストレストラン50」の日本評議委員長を務め、常に地球上の美食を追究するのがライフワークだ。古今東西のレストランに精通した中村氏にG:LINEはどう映るのか?
この20年で、人々がレストランに対して求める価値観は非常に大きく変わってきています。当然、料理がおいしい、完成度が高いという部分は変わらないと思いますが、ここ数年で変化してきたこととして、レストランに楽しさや驚き、デザイン性などをより求めるようになったことです。
今まで人が集まったり、楽しみを求めたりする場は、アート、建築、ファッションなどでした。しかし、レストランもそのような価値観を表現できるようになったこと、人々がレストランにそれを求めていることが、今までと違う点だと思います。
さらに、料理する風景そのものもお客様が楽しむ対象となってきました。今まではどんな材料で、どう調理しているのか、キッチンや厨房をあまり見せるものではありませんでした。しかしオープンキッチンのレストランが登場し、厨房が魅せる場になった。そのためキッチン環境はよりスタイリッシュになっていくと思います。
そうですね。
これから食のスタイルとして、ターブルドットというスタイルが流行すると思います。フランス語で、まかない食堂という意味です。親しい有名シェフ2人も店をターブルドットに改装すると言っていました。
ターブルドットは、主が料理をつくり、みなで一つのテーブルを囲み、料理を食べ、さまざまなものをシェアします。キッチンのコンロや火元などは、その中心にあるものです。
G:LINEは、使い勝手も良くライブ感があり、ビジュアルもいいので、この中心に据えられそうなアイテムだと思います。
これからますます、良いものを調理して皆で楽しみたいという時代になっていくのではないでしょうか。レストラン等で外食することも、今まで以上に人々は求めていくと思いますが、同じくらい、家の中のキッチンで、皆で調理をして楽しむという価値観も高まるでしょう。
新型コロナウイルスの流行で外食がしづらくなり、家で調理をして食べる人は非常に増えたと思います。自分たちで作り、シェアして一緒に食べるという楽しさを知った人が多い。そこで、レストランと同じように楽しさも演出したくなると思います。
先日、シャンパン・メゾンの人と話したんですが、高級シャンパンはコロナになってからのほうが、売り上げが上がっているそうです。家で楽しむ人が増えたから、需要が増えたということです。
そうでしょうね。
先日、ある雑誌のキッチン特集で私のキッチンが取材される機会がありました。そのため、手に入るキッチンの本と雑誌を全て取り寄せて読んだのです。とても数が多くて、キッチンはブームなのだと思いました。
あとは人に見せる需要もあると思います。今、キッチンが小さなスタジアム化をしています。キッチンが舞台であり、お招きする場なので、そこでどのようなツールを使うか、どのような演出をするかというのは、リビングを演出することと同じです。キッチンもそのようなジャンルになってきたと、痛感しています。
使い勝手も、見た目やデザイン性もそうです。あと重要なのは掃除のしやすさ。キッチン特集で私が勉強したとき、どのようにきれいにするかというツールも、多くの本で紹介されていました。ですから当然、拭きやすさなども重要です。
G:LINEはすごい。鏡面ガラスですぐ拭けるし、吹きこぼれもしづらくなっています。手入れのしやすさも意外と重要なので、よく考えられていると思いました。
コンロの火力のバリエーションがあるのも良い。さらにIHもあります。IHでしかできないこともあるので、両方あるというのは使い手にとって、料理の幅や楽しみが広がります。
強火のコンロがあるので、炒め物がしたいです。炒め物はジャーンという音がします。燃焼音もボーっと鳴る。音も楽しめます。男の料理のようでいいと思います。
炒めるものは何でもいいです。新鮮なものであれば、何でもおいしいはず。オリーブオイルでざっと炒めるようなものがつくりたいかな。
1964年神奈川県生まれ。ガストロノミーからワイン&シガー、ファッション、カルチャー、旅、ホテルまでラグジュアリー・ライフをテーマに様々な媒体に雑誌や新聞、TVにて活躍中。2013年からは、「世界のベストレストラン50」「アジアのベストレストラン50」の日本評議委員長を務める。