中村 嘉倫/阿部 努ROZZO SICILIA シェフ/マネージャー
東京・白金にあるイタリアン「ロッツォ シチリア」。店名の通りシチリア料理を提供し、毎夜客足が途絶えることなく活気にあふれている人気店だ。それは料理を作る中村氏と料理をサーブする阿部氏の絶妙な呼吸によるものだろう。飲食のプロにとってG:LINEはどう見えるのだろうか?
中村 シチリア料理を出すお店です。私がシチリアで体験したもの、食べたもの、見たものを中心に作っています。ただイタリアと日本では、手に入るものや気候、味の好みなどが随分違うので、そこは調整しています。今、手に入る食材でいかにおいしく作るかというのが、我々のやりたいことです。
阿部 そして私が中村の料理を運び、料理に合うお酒を出し、お客様をもてなし、もう一度来たいと思ってもらって送り出します。楽しかったと思ってもらうことをとても大事にしています。おいしかったと楽しかったがあると、「また来たい」につながると思っているので。
中村 家族や友人に料理を作っておいしいと喜ばれたことで、料理は楽しいと感じました。自分が思ったものを形にできる喜びもあり、それを人が喜んでくれる姿が見られることが楽しいのです。
さらに今は、お客様や周りのスタッフ、食材を提供する人たちに、この仕事を通して喜んでもらえることが楽しみ、満足感につながっています。
阿部 サーブが天性と思っていて、映画や小説、マンガ、通った歯医者など全てからサービスを学んでいます。例えば歯科衛生士が「口を開けてください」と言ったときに、語尾を上げます。語尾を上げたら口が開くことはヒントです。これはいいと思ったものを全て集め、翌日すぐに使います。
ぜいたくな仕事と思っています。昨日、落語を見たとして、そのイメージを仕事に取り入れることができます。フランスのレストランを扱った映画のサービスマンの立ち振る舞い、歩き方や指の使い方などを真似することもあります。
阿部 共有していることが非常に大事です。食事の場合、場所があり、空気、音、誰かの話し声を共有し、全てが一つの形になっているときが絶対に幸せで、おもてなしになると考えています。それで言うと、レストランはやはり、1人でも5人でも、皆でさまざまな話をしながら同じものを飲み、同じものを食べ、それに対して話す楽しさがあると思います。
中村 料理を作ることで人が集まる、料理のツールで楽しんでもらえることで、われわれは非常に満足感があります。
中村 もっと楽しく料理ができる環境になると感じました。料理を好きな人たちが使う道具は、今まで少なかったと思っています。同じようなキッチンが並ぶ中で、G:LINEはかっこいいし、料理をもっと楽しんで作れる道具だと思います。
阿部 普通のキッチンの場合、したいことは料理ですよね。しかしG:LINEの場合、このような料理を作りたいということではなく、このような場をつくりたい、このような人を呼びたい、このように話したいと感じます。当然、その先に料理はありますが、料理の前に場所をイメージさせてくれることは、非常に大きいと思います。
阿部 キャンプファイアやたき火のように場を作ってくれるかなと。私にとって、それらの火は全体の中央にあるものというイメージが非常に強いです。G:LINEはキッチンツールではなく、皆を集めるたき火、場をつくってくれる装置ですから、さまざまな楽しみ方ができるのではないでしょうか。
中村 G:LINEを見たときには、海外の製品ぽいと思いました。それは非常に形が違うという印象があったからです。日本のキッチンは、どこの家庭に行っても同じような三口のガスコンロがありました。それとは違う形。それだけで、作る料理が変わってくると思います。
阿部 そうですね。G:LINEで焼くだけでおいしそうです。南部鉄のフラットな、スキレットなどを熱して野菜を焼き、そのまましゃべりながら食べたり飲んだりすることもできると思います。
中村 ミニマルなデザインで、機能もシンプル。火加減が簡単です。レストランと家庭で作る料理はどうしても違うものになってしまいますが、近くなると思います。プロのような日の使い方ができ、プロの味に近づける。気分も変わるだろうし、使う調理器具も変えたくなるんじゃないでしょうか。
中村嘉倫(左)1974年東京都生まれ。阿部努(右)1974年北海道生まれ。お互い大学を卒業後に西麻布の「ラ・ベンズィーナ」に入社し出会う。石川勉シェフの元で共に修行。意気投合し共同でレストランの開業を約束。中村氏のシチリア修業を経て、約束から11年後の2011年に白金で「ロッツォ シチリア」を開店。
ロッツォシチリア
港区白金1-1-12 内野マンション1F
TEL:03-5447-1955