共働き世帯の増加に合わせ
「乾太くん」製造販売に参入
リンナイ「乾太くん」の販売開始は1992年だが、リンナイのガス衣類乾燥機には、いわば〝前史〟がある。
1976年発売のガス衣類乾燥機「ドラム型ガスドライヤー」だ。天日干しが一般的な日本で、リンナイがいち早くガス衣類乾燥機の開発に取り組んだ経緯について、営業企画部長の中尾公厚氏に聞いた。
「日本はたしかに天日干し文化ですが、雨が多い気候なのでいずれ機械乾燥が定着するのではないかという考えがありました。実は、海外では機械乾燥が一般的で、前会長の内藤明人が海外視察を経てガスドライヤーを日本に取り入れようと考えたのが開発のきっかけです」
当初は雨の日の乾燥を想定していたが、その後の女性の社会進出による乾燥機ニーズが高まったことを受け、1992年、リンナイは「乾太くん」の製造販売事業に参入する。
「当時の乾燥機の主流は電気でしたが、3分の1の速さで乾燥できるガスのパワーなら実力は大きく勝ります。実際、参入以降の30年近くで着実に売り上げを伸ばし、2019年度も好調です」(中尾氏)
販売開始からの約30年間で、リンナイ「乾太くん」はさまざまな改善を行い、進化を遂げてきた。ロングセラー人気は、技術と経験の蓄積によって支えられているのだ。歴代モデルを見ると、リンナイ「乾太くん」が時代のニーズに沿う形で進化しているのがよくわかる。容量や機能の変遷について、第一商品開発部で空調機器開発室次長を務める伊藤敬一氏はこう語る。
「SNSが普及した現在はお客様の声を集めやすいのですが、販売開始当初は電話で寄せられたご意見やご要望を地道に吸い上げ、次の製品に生かすという形で改善を重ねていきました。容量については、発売当初は4kgでしたが、単身者のニーズに応えて3kgモデル、洗濯機の容量アップに合わせて5kgモデルや8kgモデルと、ラインアップを揃えていきました。機能についても、大物乾燥や消臭、除菌など、お客様が必要とされるものを着実にクリアした結果が、お客様に受け入れられているのだと自負しています」