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資源エネルギー庁のキーパーソンが語る

住宅と給湯の脱炭素化は
官民一体となって推進する

  • 経済産業省 資源エネルギー庁
    省エネルギー・新エネルギー部 省エネルギー課
    中西 拓也 課長補佐(総括担当)

  • 経済産業省 資源エネルギー庁
    省エネルギー・新エネルギー部 省エネルギー課
    井澤 樹 課長補佐

  • 経済産業省 資源エネルギー庁
    省エネルギー・新エネルギー部 省エネルギー課
    宮岡 俊輔 課長補佐

※所属・役職等はすべて日経ビジネス掲載(2025年9月)当時のものです

GX2040ビジョンでくらしのエネルギーはこう変わる

2030年以降の新築住宅の省エネ性確保を目標とした新たなZEH基準の策定や、高効率給湯器のさらなる普及に向けた「トップランナー制度」の検討など、住宅と給湯の省エネ化をめぐって今大きな波がやってきている。2050年のカーボンニュートラル実現を目指し、国の政策は今後どうなるのか。資源エネルギー庁の担当者にその取り組みを聞いた。
(聞き手=日経BP総合研究所 小原隆 上席研究員)

「GX2040ビジョン」の実現に向けた、資源エネルギー庁の取り組みについて教えてください。

中西日本における最終エネルギー消費量は、家庭部門が全体の約16%を占めており、住宅・くらしの分野で脱炭素化を進めることが重要です。国民の皆様には、光熱費の削減や生活の快適性・レジリエンスの向上などにもつながる脱炭素型の製品・サービスの価値を理解いただき、住宅の脱炭素化・省エネ化をけん引していただきたいと考えています。経産省では、省エネ住宅に関する補助金なども交付しながら、皆様の選択の後押しを行っています。

家庭のエネルギー消費の約6割は、冷暖房と給湯が占めています。そのため、住宅の断熱性能の引き上げと、高効率給湯器をはじめとした省エネ機器の導入拡大を進める必要があります。

国土交通省・環境省と連携して支援策を実施しており、例えば高効率給湯器は2024年度に40万台以上の導入が促進されました。こうした支援策も活用しながら住宅性能の向上が進み、新築におけるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)※1水準以上の省エネ住宅の普及は2023年に46%に達しました。2030年までに100%を目指し、さらに2050年には新築だけでなく、既築住宅も合わせたストック平均でZEH水準の省エネ性能の確保を目標としています。こうした高い目標を達成するため、より省エネ性能が高く、自家消費を促す新たなZEHの定義の策定・普及促進にも取り組んでいます。

また、消費者への支援策に加えて、省エネ・非化石転換法に基づくトップランナー制度などにより、省エネ製品を製造する企業にも、より性能の高い製品を販売いただく仕組み作りを進めています。

給湯器に関する支援策は、どのようなものがありますか。

中西給湯器に関する支援策は2つあります。1つは、住宅所有者に対する「給湯省エネ2025事業」です。高効率給湯器(エコキュート、ハイブリッド給湯機、エネファーム)の導入に対して、1台につき6万~20万円の補助金を支給しています。

もう1つは、マンションやアパートなどの賃貸住宅に対する「賃貸集合給湯省エネ2025事業」です。こちらは物件のオーナーなどを対象としており、エコジョーズ・エコフィールの省エネ型給湯器1台につき5万~10万円の補助金を支給しています。

また新築・リフォームの際に断熱窓など給湯器以外の省エネ設備もまとめて導入する場合は、条件に応じて、「ZEH補助金」または「子育てグリーン住宅支援事業」のような国交省や環境省との連携事業も含めた補助金を利用いただくことも可能です(図1)。

図1 ●2025年度の主要な補助金・助成金制度(最大補助額)

助成事業名 最大補助額 対象・備考
ZEH・
省エネ住宅
関連
子育てグリーン
住宅支援事業
最大160万円 新築GX志向型住宅は申し込み終了
そのほかの支援は継続
ZEH補助金 追加設備による ZEH:55万円、ZEH+:90万円
給湯器関連 給湯省エネ
2025事業
最大20万円 高効率給湯器
エコキュート:6万~13万円
ハイブリッド給湯機:8万~15万円
エネファーム:16万~20万円
賃貸集合給湯
省エネ2025事業
最大10万円 エコジョーズ(潜熱回収型ガス給湯器)
追い焚き機能なし:5万〜8万円
追い焚き機能あり:7万〜10万円

補足 ●2026年度実施予定の補助金事業

2025年11月現在 上記内容は変更となる場合があります。
出典:国土交通省「住宅省エネキャンペーンにおける3省連携(新陸・リフォーム)」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001970798.pdf 
助成事業名 最大補助額 対象・備考
ZEH・
省エネ住宅
関連
みらいエコ住宅2026事業 最大110万円
(1~4地域は最大125万円)
GX志向型住宅:110万円/戸(125万円/戸)
長期優良住宅:75万円/戸(80万円/戸)
ZEH水準住宅:35万円/戸(40万円/戸)
( )は1~4地域
給湯器関連 給湯省エネ
2026事業
最大17万円 高効率給湯器
エコキュート:7万~10万円
ハイブリッド給湯機:10万~12万円
エネファーム:17万円
賃貸集合給湯
省エネ2025事業
最大10万円 エコジョーズ(潜熱回収型ガス給湯器)
追い焚き機能なし:5万〜8万円
追い焚き機能あり:7万〜10万円

子育てグリーン住宅支援事業では、新しいZEH基準に準拠した「GX志向型住宅」の補助枠がわずか3カ月ほどで予算上限に達したそうですね。
支援事業の中には、このように注目度の高いものと利用が進まないものがありますが、どういった差があるのでしょうか。

中西GX 志向型住宅の場合は、ハウスメーカーの皆様がGX 志向型住宅のメリットをしっかりと理解し、消費者に積極的に伝えてくださったことが大きな要因の1つと感じています。官民がビジョンを共有し、制度と支援を一体的に実施することができました。

利用がなかなか進まない事業は、それだけ大きな課題がある分野でもあり、メリットがステークホルダーにまだ十分に伝わっていない点もあろうかと思います。例えば賃貸集合住宅のオーナーに向けた省エネ型給湯器への補助金の場合、光熱費の削減は借主がその利益を得ますが交換費用はオーナーの負担となりますので、積極的な更新が進みにくいという背景があります。

住宅性能表示制度などを通じて賃貸住宅の光熱費削減等のメリットの透明化を進めるなど、オーナーの皆様にもご協力いただきながら、省エネ賃貸住宅が選択されやすい環境を整えていくことが重要です。

新ZEHは再エネ「自家消費」がカギ

新しいZEH性能について教えてください。

宮岡現行のZEHは、断熱等級※2が5以上、1次エネルギー消費量※3削減率20%以上が基準でしたが、新ZEH定義では、断熱等級が6以上、1次エネルギー消費量削減率が35%以上へ引き上げられます。また、再エネを含む1次エネルギー消費量削減率については、ネット・ゼロとなる100%だけではなく、それ以上の115%のランクも新設しております。同時に、集合住宅向けの「ZEH-M」の水準も引き上げを行っています(図2)。

図2 ●2027年度から施行される新たなZEH の定義

現行ZEH定義 新ZEH定義(2027年度~)
省エネ性能 断熱性能 断熱等級5以上 断熱等級6以上
1次エネルギー消費量
削減率(省エネのみ)
20%以上削減 35%以上削減
再エネ含む1次エネルギー削減要件 100%削減 100%削減
(115%削減の要件も新設)
設備要件 蓄電池 任意 必須(初期実効容量5kWh以上、
集合住宅は適用除外)
高度エネルギー
マネジメントシステム
(HEMS)
任意 必須(集合住宅は適用除外)
地域性や建物特性を考慮した
ZEH Oriented適用条件
多雪地域・
都市部狭小地
多雪地域・都市部狭小地、集合住宅(ZEH-M)では
6階建て以上

新ZEH定義に新しく追加された「設備要件」について教えてください。

中西新ZEH定義では、戸建住宅における再エネの自家消費を促すための取り組みとして、「蓄電池」や「高度エネルギーマネジメントシステム(HEMS)」の導入を必須としました。

宮岡現状、戸建住宅の再エネ自家消費率は約3割で、残りの約7割は電力会社に売電されている状態です。将来的には、自家消費率をより高い水準に引き上げていければと思います。

中西日中に発電した再エネを夜間に使用すれば電気代も抑えられますし、太陽光発電と蓄電池の組み合わせは「災害に対する備え」にもなります。こうしたメリットも理解いただきながら、自家消費型住宅を増やしていきたいと考えています。

新ZEH定義では、給湯に関することをどのようにお考えですか。

宮岡給湯は、家庭のエネルギー消費量の約3割を占める大きなエネルギー消費源です。新ZEH定義の「設備要件」にこそ含まれていないものの、高効率給湯器の導入は1次エネルギー消費量削減率35%を達成する上で欠かせないと考えています。

新築は高効率給湯器が当たり前に

トップランナー制度における給湯器の規制についてお聞かせください。

井澤ガス温水機器に着目したトップランナー制度と、高効率給湯器に着目した省エネ・非化石転換制度の2つがあり、後者はまだ審議中の段階です。

ガス温水機器に着目した制度では、2028年度に向けた新たな「目標基準値(トップランナー基準)」を設定し、各製造事業者にはその目標基準値を達成する努力義務が課せられます。ガス温水機器のエネルギー消費効率を2022年度の実績値85%から87.5%へ引き上げることが目標で、従来型と比較してより効率の良いエコジョーズ・エコフィールの省エネ型給湯器の導入ポテンシャルを57.1%と想定しています(図3)。

図3 ●2028年度に向けたガス給湯器のトップランナー基準の再設定 の定義

2022年度実績 2028年度目標
機器概要 潜熱回収型
出荷実績
ガス機器全体における
潜熱回収型の出荷実績
基準エネルギー
消費効率(平均値)
潜熱回収型
導入ポテンシャル
ガス機器全体における
潜熱回収型の導入ポテンシャル
基準エネルギー
消費効率(平均値)
ガス給湯専用機 6% 37% 85% 35% 57.1% 87.5%
ガスふろ給湯機 55% 75%
ガス給湯暖房機 72% 83%
2028年度のトップランナー基準の狙い
  • ▶ 製造事業者などに対して、2022年度実績と比較して2.5%のエネルギー消費性能の向上を求める。
  • ▶ 省エネ性能の高いエコジョーズなど潜熱回収型給湯器の導入を促進することで、ガス機器全体のエネルギー消費効率を向上させる

井澤もう1つの制度は、まだ案の段階ですが、家庭用給湯器を対象とした化石エネルギー消費量の削減を推進するものです。2034年度に向けて3つの高効率給湯器(エコキュート、ハイブリッド給湯機、エネファーム)の普及拡大を進める計画です。ここでは、家庭用給湯器全体としての出荷の想定割合案を集計しています(図4)が、目標値等はそれぞれの製造事業者が設定する案としています。

本制度の狙いは、高効率給湯器の市場拡大を加速させ、家庭部門の省エネ・非化石転換とエネルギーコストの抑制を実現することです。2034年度に向けて野心的な旗を立てることで、製造事業者などの努力を促すこと、また給湯器の流通に関わる事業者や消費者の理解と協力を、国と製造事業者が一体となって求めていく土台にしたいと考えます。こうした環境を整えることで、製造事業者が高効率給湯器の生産体制拡充や技術開発に取り組む好循環を生み出すことになると期待しています。

図4 ●各種給湯器の導入割合実績と、2034年度の高効率給湯器の市場拡大目標

数字は台数ベース 2023年度実績 2034年度における導入割合(案)※4
高効率給湯器 22% 38.6%
潜熱回収型給湯器 29% 41.1%
従来型給湯器 49% 20.3%
2034年度の省エネ・非化石転換制度の狙い
  • ▶ 高効率給湯器の市場拡大を加速させ、家庭部門の省エネ·非化石転換、 コストの抑制を実現する
  • ▶ 2034年度に向け野心的な旗を立てることで、製造事業者などの努力を促す。さらには流通事業者や消費者の理解と協力を、国と製造業者が一体となって求めていく土台とする
  • ▶ 製造事業者が高効率給湯器の生産体制拡充や技術開発に取り組む好循環につなげる

なぜ、各メーカーで基準値を設定するのですか。

井澤高効率給湯器のラインナップは各製造事業者において異なっており、ガス温水機器を主力とした製造事業者もあれば、電気温水機器を主力とした製造事業者もあります。国が一律の目標基準値を設定すると、製造事業者ごとにハードルの差が大きくなってしまうため、個別に目標の設定・公表を求める仕組みとすることを検討中です。

3つの高効率給湯器に切り替えるための規制では、化石エネルギーの消費量を参考にして基準値を決めるということですが、その算出方法について教えてください。

井澤詳しい計算方法については省きますが、新しい規制では、「給湯器1台がどれだけの化石エネルギーを使用したか」に着目し、給湯器が使用したエネルギーから化石エネルギー由来のエネルギーを算出するスキームを検討しています。給湯器の中には、化石エネルギー由来のものもあれば、非化石エネルギー由来のものもあり、その両方を由来としたものもあります。

各製造事業者には、給湯器1台当たりの単位化石エネルギー消費量を算出し、目標年度における目標基準値として設定いただくことを検討中です。

官民一体となった変革の推進

メーカーの技術開発促進のための投資支援も行うなど、国とメーカーが一丸となってGXに取り組んでいると感じます。2025~28年は、住宅と給湯の変革過渡期ですね。GXを推進するに当たって、消費者に期待したいことはありますか?

中西まさに官民一体となり、大きな変革を起こそうとしています。GX予算を活用した支援を行い、メーカーの競争力の強化を図る環境を整えていきます。また、消費者の皆様には、まずはGXに対する関心を持っていただきたいと考えます。国が支援・制度を整備して民間事業者の皆様に優れた製品を用意してもらったところで、消費者の皆様に知っていただけなければ、選択肢に上がることもないからです。給湯器の省エネ性能向上は、光熱費削減が期待できるのに加え、レジリエンス(災害対応力)の向上にも寄与します。

高効率給湯器は初期費用こそ高額ではあるものの、ランニングコストを大幅に削減できるため、長期的にはメリットを受けられる選択です。目の前の安いものに飛びつくのではなく、トータルでのメリットを踏まえて選択いただけるようお願いします。

※1 ZEH:年間のエネルギー消費量を住宅で生み出す太陽光発電のエネルギーでまかないエネルギー収支を実質ゼロにする住宅
※2 断熱等級:住宅の断熱性能を1~7の7段階で評価する指標。数字が大きいほど断熱性が高い。2025年度以降はすべての新築住宅に等級4以上が義務化される
※3 1次エネルギー消費量:冷暖房や給湯、換気、照明など住宅で使われている設備機器の消費エネルギーを熱量に換算した値
※4 2034年度における給湯器の導入割合:「目標年度時点における、各世帯セグメント(新築・既築、戸建・集合住宅、持家・賃貸等により分類した768のセグメントを指す)の給湯器出荷台数に占める、各給湯器区分に属する給湯器の割合」を給湯器区分別に集計したもの

カーボンニュートラル化に対応した、
リンナイの給湯器2種

国が推進する住宅脱炭素化の取り組みに対応し、リンナイでは以下の2タイプの給湯器を提供している。

「エコジョーズ」は潜熱回収型ガス給湯器で、従来は捨てていた排気熱を回収して再利用することで熱効率を約95%まで向上させた。経産省のトップランナー制度では、この潜熱回収型給湯器の普及率を現在の37%から57%以上に引き上げる目標を掲げており、従来型の給湯器の採用が多かった賃貸集合住宅でのさらなる採用拡大が期待される。2025年には業界最小のドレン排水切替ユニットを開発し取替工事の施工性を向上させるなど設置時の利便性を向上させた。

「エコワン」は電気とガスを組み合わせたハイブリッド給湯器。電気ヒートポンプ給湯器と高効率ガス給湯器の特長を活かしたシステムで、効率の高いヒートポンプでお湯を沸かし不足分をガスで瞬間的に補うことで、大幅な省エネを実現する。新ZEH基準で求められる高効率給湯器の一つとして、補助金対象にもなっている。断水時にはタンクユニットに備えられた非常用取水栓から簡単に湯水を取り出すことが可能。機器のデータを取得して、故障を予兆できるなど、レジリエンス性の高さも特徴。給湯タンクのサイズが小さく、マンションへの設置が可能な「ECO ONE X5」など、バリエーションも豊富。

ランニングコストを抑える高効率給湯器「エコジョーズ」
貯湯タンクと高効率給湯器が一体化したハイブリッド給湯器「ECO ONE X5|集合住宅専用モデル」